パロマ有罪「公正な判決に感謝」と涙の母(読売新聞)

 「あなたの死は無駄ではなかった」――。パロマ工業製の湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故で、同社元社長・小林敏宏被告(72)ら2人を有罪とした11日の東京地裁判決は、事故が起きる危険性を認識しながら対策を取らなかったとして、メーカートップらの過失責任を明確に認めた。

 事故で若い命を落とした息子の無念を晴らそうと公判の傍聴を重ねてきた母は判決後、「公正な判決に感謝したい」と涙を浮かべた。

 小林被告と、元品質管理部長・鎌塚渉被告(60)は午後1時半、同地裁の104号法廷に、ともに紺色のスーツ姿で入廷。無罪を主張してきただけに、半田靖史裁判長が有罪を宣告した瞬間、小林被告はぼう然としたような表情を浮かべた。

 「被告は使用者の安全を優先すべきだった」「遺族の悲しみは深く大きい」。判決理由が読み上げられる間、小林被告はハンカチで額の汗をぬぐったり、何度もまばたきしたりするなど落ち着かない様子だった。

 判決後、事故で亡くなった上嶋(じょうしま)浩幸さん(当時18歳)の母、幸子さん(56)らが東京・霞が関で記者会見。幸子さんは「あなたの死は無駄ではなかったと言いたい。母の日は過ぎたけど、(判決は)ヒロくんからの贈り物だと思う」と話した。幸子さんの前には、事故の約7か月前、大学に合格した直後の浩幸さんの写真が置かれていた。

 幸子さんは2008年12月の初公判からこの日まで計35回の公判を、体調不良で欠席した1回を除き、すべて傍聴してきた。法廷で書き取ったメモはA5判のノート6冊にもなる。

 昨年10月の公判で、小林被告が小さな声で「不正改造はガス会社がチェックすると思っていた」と証言するのを聞き、幸子さんは「メーカーのトップが、自分の製品の責任をほかになすりつけるのはおかしい」と怒りがこみ上げたという。

 幸子さんは会見で、「パロマの湯沸かし器がなかったらヒロくんは死なずに済んだと思うと悔しい」「被告には命の尊さを真剣に考えてほしい。18歳の浩幸を返してと言いたい」と訴えた。

 幸子さんら遺族がパロマ工業などを相手取った損害賠償訴訟で、遺族側の代理人を務める中村雅人弁護士は、「判決には、社会がより安全な方向に向かうようにというメッセージが込められている」と評価した。

 一方、判決を受け、パロマ工業は「引き続き製品の点検・回収作業に万全を尽くし、こうした事故が二度と起こらないよう、消費者の安全確保に全力を尽くすことがメーカーとしての社会的役割だと痛感している」とのコメントを発表した。

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